結論から言うと、英単語は訳語だけでなく、短い例文と一緒に覚えるほうが、実際に読んだり聞いたりしたときに意味が分かる単語になります。英語には、同じつづりで文脈によって意味が変わる単語や、決まった単語と組み合わせて使う単語が多く、訳語ひとつでは使い方まで覚えられないからです。この記事では、例文が教えてくれること、覚えやすい例文の選び方、そして例文を使って「思い出す練習」をする方法を順に紹介します。
要点
- bookは名詞なら「本」、動詞なら「予約する」のように、意味が文脈で変わる単語は例文で覚えると読み違えにくくなります。
- 例文からは、意味だけでなく、doとhomework、makeとbreadのような単語の組み合わせと、使う場面も学べます。
- 例文を見たら訳を見る前に意味を言ってみる、という思い出す練習をすると、読み直すだけより記憶に残ります。
訳語だけでは足りない理由
単語帳で「book=本」と覚えた人が、「I booked a table.」という文に出会うと、一瞬とまどいます。ここでのbookは動詞で、「予約する」という意味だからです。Watch Your Languageの例文でも、名詞のbookは「The student reads a book in class.(学生は授業で本を読みます)」、動詞のbookは「My father books two train tickets on the internet.(父がインターネットで電車の切符を2枚予約する)」と、別々の文で覚えるようにしています。
同じことはaddressにも言えます。名詞なら「I write my address on the envelope.(封筒に住所を書く)」の「住所」ですが、動詞では「Our teacher addressed the noise problem with new seating.(先生は新しい席順で騒音の問題に対処した)」のように「(問題に)対処する」という意味になります。訳語をひとつ覚えただけでは、もうひとつの意味に出会ったときに読み違えてしまいます。例文で覚えておけば、文の形(名詞か動詞か)と意味をセットで思い出せます。
例文が教えてくれる3つのこと
例文から学べることは、意味の違いだけではありません。ひとつの例文に、少なくとも次の3つの情報が入っています。
- どの意味で使われているか:bookやaddressのように意味が複数ある単語で、どの意味なのかが文脈から分かります。
- どの単語と組み合わせるか:日本語ではどちらも「する」「作る」と訳せる動詞でも、英語では組み合わせが決まっています。「He does his homework after dinner.(彼は夕食の後、宿題をします)」ではdo、「She makes bread every Sunday morning.(彼女は毎週日曜の朝にパンを作ります)」ではmakeです。
- どんな場面で使うか:例文の場面が、単語を思い出すときの手がかりになります。「夕食の後の宿題」という場面ごと覚えておくと、doと宿題の組み合わせが自然に浮かびます。
とくに2つ目の組み合わせは、訳語だけの暗記では身につきにくい部分です。英作文や会話で「宿題をする」と言いたいときに、make homeworkと言ってしまう間違いは、例文で一度見ておくだけで防ぎやすくなります。
覚えやすい例文の選び方
例文は長ければよいわけではありません。覚えるための例文は、次の条件を満たすものが向いています。
- 短いこと:一度見ただけで全体が頭に入る長さが目安です。長い例文は、覚えたい単語より周りの単語に注意が向いてしまいます。
- 知っている単語でできていること:例文の中に知らない単語がいくつもあると、例文そのものを覚える作業になってしまいます。
- 自分の生活に近い場面であること:通勤、仕事、家族、食事など、自分が実際に使いそうな場面の例文ほど記憶に残ります。
たとえば light という単語は、「光」の意味で覚えている人が多いかもしれませんが、Watch Your Languageの例文「This bag is very light and easy to carry.(このかばんはとても軽くて持ち運びやすい)」では「軽い」という意味です。こうした短くて場面が浮かぶ例文は、それだけで別の意味をひとつ覚える助けになります。
単語帳や辞書の例文が自分に合わないと感じたら、同じ単語を使って自分で短い例文を作ってみるのもよい方法です。自分で作った文は、場面を自分で選んでいるぶん、思い出すときの手がかりが強くなります。単語の成り立ちから覚える方法は「英単語を語源から覚える方法」で紹介しています。
例文で「思い出す練習」をする
例文は、読むだけでなく、思い出す練習にも使えます。心理学者のカーピキーとローディガーが2008年にScience誌に発表した研究では、外国語の単語を学習したあと、すでに正解できるようになった単語でもテストを繰り返したグループは、1週間後の成績が大きく上がりました。一方で、正解できるようになった単語を読み直すだけでは、1週間後の成績は伸びませんでした。覚えたかどうかを確かめるには、もう一度読むより、自分の頭から取り出してみることが大切だということです。
例文を使った思い出す練習は簡単です。英語の例文を見たら、訳を見る前に、その単語がここでどんな意味かを自分で言ってみる。それから訳を確かめる。これだけで、例文を眺めるだけの復習が、思い出す練習に変わります。復習のタイミングについては「忘却曲線と英単語の復習タイミング」も参考にしてください。
日常の中で例文に出会う
例文で覚える方法の弱点は、時間がかかることです。単語帳を開いて一文ずつ読む時間を毎日確保するのは、社会人には簡単ではありません。そこで、ふだん見ている画面に単語と例文が表示されるようにしておくと、時刻やメッセージを確認するついでに、例文に出会う回数を増やせます。1日に覚える単語の数の考え方は「英単語は1日何個覚えればいいか」、覚えられない原因については「英単語が覚えられない原因と対策」で詳しく紹介しています。
Watch Your Languageは、英単語を訳と例文と一緒に、iPhoneのウィジェットやApple Watchの画面に表示します。例文を見て意味を思い出してから訳を確かめる、という練習を、画面を見るたびに少しずつ重ねられます。まだ覚えていない単語ほど繰り返し表示されます。
まとめ:単語は文の中で覚える
英単語は、訳語ひとつで覚えると、別の意味や使い方に出会ったときに読み違えてしまいます。短い例文と一緒に覚えれば、意味、組み合わせ、場面をまとめて身につけられます。例文は読むだけでなく、訳を隠して意味を思い出す練習に使うと、覚えた単語が長く残ります。まずは今日覚えた単語をひとつ選び、自分の生活に近い短い例文を作ってみてください。Watch Your Languageの機能全体はホームで紹介しています。