結論から言うと、英単語が覚えられない原因の多くは、記憶力ではなく覚え方の側にあります。答えを見ながら眺めているだけで思い出す練習をしていないこと、忘れかけた頃に見直していないこと、単語を場面から切り離して覚えようとしていること、一度に新しい単語を増やしすぎていること、そして自分の生活に関係の薄い単語ばかり覚えようとしていることです。ノートに書き留めた「important」のような単語も、見直さずにおけば時間とともに忘れていきます。それは誰にでも起きることで、意志の弱さの表れではありません。ここでは五つの原因を順に確認し、それぞれを日常の中でどう変えればよいかを紹介します。
要点
- 覚えたはずの単語がすぐ出てこないなら、新しい単語を足すより、覚えている途中の単語に出会う回数を増やします。
- 訳を見る前に一度思い出そうとすると、「見てわかる」だけでなく「思い出せる」力の練習になります。
- 忘れかけた頃に見直す、場面と一緒に覚える、一度に増やしすぎない、自分に関係のある単語を選ぶのが対策です。
「見てわかる」と「思い出せる」は別の力
単語帳を開き、英単語と日本語訳を並べて眺めていると、どれも「知っている」と感じます。ところが、会議や会話の場で日本語から英語を言おうとすると出てこない。たとえばreliableを見れば「信頼できる」とすぐにわかるのに、「信頼できる」と言いたい場面ではreliableが浮かばない、ということがあります。この差は、英単語を見て意味がわかる状態と、何も見ずに自分で思い出せる状態が、別の力だからです。答えが常に目に入る覚え方では、前者は育っても、後者の練習はほとんどできていません。
対策は、答えを見る前に一度思い出そうとする時間を作ることです。単語を見たら、訳を確かめる前に意味を頭の中で言ってみる。紙の単語帳なら、訳を手や付箋で隠すだけでも変わります。Watch Your Languageのウィジェットやコンプリケーションには、単語と訳を一緒に表示するスタイルのほかに、単語だけを表示するスタイルがあり、iPhoneのウィジェットではタップすると訳が表示されます。画面を見るたびに、小さな確認テストが一回起きることになります。
忘れかけた頃に見直していない
二つめの原因は、覚えたあとの見直しです。記憶は、覚えた直後にもっとも大きく失われ、そのあとは失われ方が緩やかになることが、心理学の実験で繰り返し確かめられています。実験の数値や背景は社会人の英単語の覚え方で紹介しているので、ここでは結論だけを押さえます。覚えたばかりの単語は間を空けずにもう一度出会い、思い出せるようになってきた単語は間隔を広げて見直す。この考え方を間隔反復(スペースド・レペティション)と呼びます。
問題は、どの単語をいつ見直すかを自分で管理し続けるのが難しいことです。紙の単語帳では、見直すべき単語と、もう十分に覚えた単語が同じページに混ざっています。結果として、すでに覚えた単語を何度も眺める一方で、忘れかけている単語には手が回らないということが起こります。Watch Your Languageは、スマート・レペティションのアルゴリズムで、覚えたばかりの単語は短い間隔で、よく覚えている単語は長い間隔で表示し、覚えるまで同じ単語を繰り返し見せます。
単語を場面から切り離して覚えている
英単語とその日本語訳だけを機械的に並べた単語帳は、覚えている間は役に立ちますが、忘れかけたときに手がかりがほとんど残りません。たとえば「delay」という単語だけをぽつんと覚えようとしても、どんな場面で使うのかが思い浮かばなければ、記憶の手がかりは単語の見た目だけになります。一方で、ビジネスや旅行といったテーマの中で出会った単語や、実際に読んだメールの中で見かけた単語は、場面ごと思い出すきっかけが残ります。
単語一つひとつに例文や場面を自分で用意するのは手間がかかりますが、テーマ別にまとまった単語を選ぶだけでも、単語同士が場面でゆるやかにつながった状態で覚えられます。Watch Your Languageの語彙パックは、食事、旅行、ビジネス、感情といったテーマと、CEFRのレベル(A1からC2)で分かれています。
新しい単語を一度に増やしすぎている
やる気がある時期ほど、一日に覚える単語の数を増やしたくなります。しかし新しい単語が次々に加わると、前に覚えた単語を見直す機会がそのぶん減り、どの単語も中途半端な状態で積み上がっていきます。「覚えた数」は増えているのに「思い出せる数」は増えないという状態は、多くの場合ここから生まれます。
新しい単語を増やすペースは、見直しが追いつく範囲にとどめるのが基本です。覚えたはずの単語がすぐに出てこないと感じたら、新しい単語を足すよりも、いま覚えている途中の単語に出会う回数を増やすほうを優先してください。Watch Your Languageでは、新しい単語が数分おきに加わるか、週に一つだけ加わるかまで、ペースを自分で決められます。忙しい時期はペースを落とし、余裕がある時期に上げるという調整もできます。
自分に関係の薄い単語ばかり覚えている
最後の原因は、覚える単語の選び方です。使う場面がまったく思い浮かばない単語は、覚える理由が見えにくく、見直しても定着しにくいものです。反対に、仕事で毎週目にする単語や、次の旅行で必要になる単語は、実際に出会う機会があるぶん記憶にも残りやすくなります。まずは自分の仕事や生活に近いテーマから選び、レベルもいまの自分に合ったところから始めるのが近道です。
手元の資料やメモに、覚えたい単語がすでにまとまっている場合もあります。Watch Your LanguageのPremiumでは、手書きのメモや教科書のページを撮影して単語を取り込んだり、CSVやExcelのファイルから単語リストをまとめて取り込んだりできます。空いた時間で単語に触れる方法は隙間時間で英単語を覚える方法、単語アプリの管理が続かないと感じる場合はAnkiが続かない人への代替アプリもあわせてご覧ください。
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| 答えを見ながら眺めている | 訳を見る前に一度思い出す |
| 忘れかけても見直さない | 間隔をあけて見直す(間隔反復) |
| 単語を場面から切り離して覚える | テーマ・文脈とセットで覚える |
| 新しい単語を一度に増やしすぎる | 見直しが追いつくペースに抑える |
| 自分に関係の薄い単語を覚える | 仕事や生活に近い単語から選ぶ |
Watch Your Languageは、iPhoneのロック画面・ホーム画面のウィジェットとApple Watchの文字盤のコンプリケーションに単語を表示し、スマート・レペティションのアルゴリズムで、覚えるまで単語を繰り返し表示します。単語だけを表示するスタイルを選べば、画面を見るたびに思い出す練習になります。テーマとCEFRレベル別の語彙パックで学べるほか、Premiumでは写真やCSV・Excelファイルから自分の単語を取り込めます。