結論から言うと、フランス語の独学は、最初に「つづりをどう読むか」の規則を押さえることから始めるのがおすすめです。フランス語は語末の文字の多くを発音せず、単語どうしが音でつながるため、つづりを目で追えても耳で聞き取れないという壁に最初にぶつかります。英語を学んできた日本語話者は、見覚えのあるつづりをつい英語読みしてしまうので、なおさらです。最初に向き合いたいのは、発音しない文字、リエゾン、名詞の性の3つです。
この記事では、スクールに通わず、仕事の合間や通勤時間でフランス語を独学する社会人を想定して、読み方の規則、英語との違い、数字の数え方、名詞の性と冠詞という順に、つまずきやすい点と進め方を見ていきます。
要点
- 最初に「つづりをどう読むか」の規則を押さえます。語末の子音の多くは発音されず、リエゾンで音がつながります。
- 英語と同じつづりでも読みは違い(tableは「タブル」に近い音)、アクセント記号も音の目印です。
- 70は「60+10」、80は「4×20」と数える数字に早めに慣れ、名詞は「la table」のように冠詞ごと覚えます。
読めるのに聞き取れない:発音しない文字とリエゾン
フランス語では、単語の最後の子音字の多くが発音されません。形容詞「petit(小さい、男性形)」の語末のtは発音されず「プティ」ですが、女性形の「petite」ではeが付くことでtの音が現れ、「プティット」になります。つづりの小さな違いが、そのまま音の違いになって現れる例です。また、hは単語のどこにあっても発音されず、「hôtel(ホテル)」は「オテル」に近い音になります。
もう一つの特徴がリエゾンです。本来は発音されない語末の子音が、次の単語が母音で始まるときに現れて、次の単語とつながる現象です。「les amis(友人たち)」は、lesのsが単独では発音されませんが、次のamisが母音で始まるため、sがzの音でつながって「レザミ」と読まれます。教材の音声が速く聞こえるのは、単語の区切りがこうして消えるからでもあります。聞き取りの練習では、単語を一つずつ聞き分けようとするより、つながった音のかたまりごとに覚えていくほうが近道です。
英語読みのくせを外す:アクセント記号とç
英語を学んできた日本語話者にとって、フランス語には見覚えのある単語が多く並んでいます。これは意味を推測するうえでは助けになりますが、読み方では落とし穴になります。たとえば「table(テーブル)」はフランス語でも同じつづりですが、読みは「タブル」に近く、英語の「テーブル」とは違います。つづりが英語と同じ単語ほど、フランス語の読み方を音声で確認しておく必要があります。
アクセント記号も読み方の目印です。「été(夏)」の2つのé(アクサンテギュ)は「エ」に近い音を表し、「être(〜である)」のê(アクサンシルコンフレックス)は口を大きく開く「エ」の音を表します。同じeでも、記号によって音が変わります。さらに、「français(フランス語)」のç(セディーユ)は、本来cの後にa・o・uが続くと「カ・コ・ク」のような音になるところを、「サ」の音に変えるための記号です。記号を省いて覚えると読み方も一緒に失われるので、単語帳にも記号まで正確に書いておきましょう。
数字は足し算とかけ算で数える
独学の初期につまずきやすいのが、フランス語の数字です。60までは日本語と同じように十の位と一の位で数えますが、70からは数え方が変わります。70は「soixante-dix(60+10)」、80は「quatre-vingts(4×20)」、90は「quatre-vingt-dix(4×20+10)」と、足し算とかけ算を組み合わせて表します。値段や時刻、電話番号を聞き取るときに必ず出てくるため、早い段階で慣れておきたいところです。
なお、ベルギーやスイスでは、70を「septante」、90を「nonante」と言う地域もあります。教材の多くはフランスのフランス語を基準にしているので、まずは教材どおりに覚え、旅行や仕事で関わる地域が決まっていれば、その地域の言い方も確認しておくと安心です。
名詞は冠詞と一緒に、tuとvousは相手と一緒に
フランス語の名詞には男性と女性の文法上の性があり、冠詞や形容詞の形が名詞の性に合わせて変わります。単語帳には「table」だけでなく「la table(テーブル)」のように冠詞を含めた形で書いておくと、あとから性を調べ直す手間が省けます。語尾から性を見分けられる場合もありますが例外が多いので、フランス語では冠詞ごと覚える習慣が特に役立ちます。
二人称の使い分けも、単語と一緒に覚えておきたい点です。フランス語では、親しい相手にはtu、初対面の人や目上の人、複数の相手にはvousを使います。あいさつや自己紹介の表現は、どちらの相手に向けたものかを添えて覚えておくと、実際の場面で迷いません。語彙はあいさつ、数字と時間、家族、食事、仕事など、自分が使う場面のテーマから選ぶと記憶に残りやすくなります。仏検やDELFのような試験を目標にする場合は、公式情報が示す範囲を基準に、レベルに合った単語から選んでいくとよいでしょう。単語アプリの比較は「フランス語の単語アプリ比較」で取り上げています。
読み方の練習と並行して、単語は画面で覚える
Watch Your Languageはフランス語の学習にも対応しています。iPhoneのロック画面・ホーム画面のウィジェットや、Apple Watchの文字盤のコンプリケーションに単語を自動で表示するので、時刻や通知を確認するたびにフランス語の単語が目に入ります。Watchアプリでは単語と例文をテキスト読み上げで聞けるため、つづりを見ながら読み方を確かめる練習にも使えます。単語パックはテーマとCEFRのレベル(A1からC2)で分かれていて、あいさつや日常の基本語から始められます。Premiumでは、教材の単語リストの取り込みや、手書きのノートを撮影して単語を読み取ることもできます。Apple Watchで単語を表示する仕組みはApple Watchの単語帳アプリの紹介ページにまとめています。
Watch Your Languageは、フランス語の単語をテーマとCEFRレベル別のパックで提供し、iPhoneのウィジェットとApple Watchの文字盤に自動で表示します。スマート・レペティションの仕組みが、覚えるまで同じ単語を繰り返し見せるので、机に向かう時間は読み方と聞き取りの練習に回せます。
まとめ:つづりと音の対応から始める
フランス語の独学は、つづりと音がずれる仕組みを最初に理解しておくかどうかで、その後の進み方が大きく変わります。発音しない文字とリエゾンの規則を押さえ、英語読みのくせを外し、70から先の数字に慣れ、名詞は冠詞と一緒に覚える。この順番で進めれば、目で読めるのに聞き取れないという壁を少しずつ崩していけます。まずは「les amis」を音声に合わせて「レザミ」と声に出してみるところから始めてください。スペイン語は、つづりがほぼ規則どおりに読める点でフランス語と対照的です。独学の進め方は「スペイン語の独学は発音が味方」で比べてみてください。Watch Your Languageの機能全体はホームで紹介しています。