結論から言うと、英単語を書いて覚える方法は、つづりを覚えるには役に立ちますが、同じ単語を一度に何回も書き写すだけでは、意味はあまり定着しません。大切なのは、書く回数ではなく、意味やつづりを自分の頭から思い出す回数です。書くなら「見て写す」のではなく「思い出してから書く」、そして一度にまとめて書くより、日をあけて何度も思い出す。この記事では、書いて覚える方法の長所と短所、書く価値のある単語、そして書き方を少し変えて効果を上げる方法を紹介します。
要点
- 見本を見ながら同じ単語を続けて書くと、意味を思い出す作業がほとんど入らず、書いた回数ほどには覚えられません。
- 書く時間は、necessaryやaccommodateのようにつづりを間違えやすい単語に使うと効果的です。
- 書くなら意味から英単語を思い出してから書き、同じ日に何回も書くより、日をあけて何度も思い出します。
書いて覚える方法の長所と短所
学校で、新しい英単語をノートに10回ずつ書いた経験がある人は多いでしょう。書いて覚える方法には、はっきりした長所があります。手を動かすので集中しやすく、1文字ずつ書くことでつづりに注意が向きます。読むだけでは気づかない、似た単語とのつづりの違いにも気づけます。
一方で、短所もあります。まず時間がかかります。そして、見本を見ながら同じ単語を続けて書いていると、2回目以降は手が覚えた形をなぞるだけになり、意味を思い出す作業がほとんど入りません。10回書き終えたときには覚えた気がしても、翌日には思い出せない、ということが起こるのはこのためです。書いた回数の多さが、そのまま覚えた量になるわけではありません。
それでも、書く練習が欠かせない場面はあります。英検のライティングのように、試験で英文を書く必要がある場合や、メールやチャットで英語を書く機会が多い仕事をしている場合です。読んで意味が分かることと、自分で正しいつづりで書けることは別の力なので、書く必要がある人ほど、どの単語に書く時間を使うかを選ぶことが大切になります。
つづりが難しい単語は、書く価値がある
すべての単語を書いて覚える必要はありません。書く時間を使う価値が高いのは、つづりを間違えやすい単語です。たとえば「necessary(必要な)」はcが1つでsが2つ、「accommodate(収容する、宿泊させる)」はcもmも2つ、「separate(分ける)」は真ん中がeではなくaです。こうした単語は、発音を聞いたり読んだりするだけでは、どこが2文字でどこが1文字なのかを覚えにくく、英作文や書く試験で間違えやすい部分です。
書くときは、間違えやすい部分を意識して書くのがコツです。necessaryなら「c 1つ、s 2つ」と声に出しながら書く、色ペンでその部分だけ色を変える、といった工夫で、手の動きと注意が同じ場所に向きます。発音しない文字を含む単語も、書いて覚える価値があります。knife(ナイフ)の最初の k や、Wednesday(水曜日)の最初の d は発音しないので、聞いた音だけを頼りに書くと抜けてしまいます。逆に、つづりが規則的で間違えにくい単語は、書く時間を減らし、意味を思い出す練習に回したほうが効率的です。
書く前に思い出す:写すだけをやめる
書いて覚える方法の効果を上げるいちばん簡単な方法は、見本を見ないで書くことです。日本語の意味だけを見て、英単語を思い出してから書き、それから見本で答え合わせをする。これだけで、書き写す作業が、思い出す練習に変わります。
具体的には、次の順番で書くと、写すだけの書き取りが思い出す練習に変わります。
- 日本語の意味だけが見える状態にして、英単語を隠します。
- 英単語を思い出してから、ノートに1回だけ書きます。
- 見本で答え合わせをして、間違えた文字に印をつけます。
- 印をつけた単語だけ、もう一度意味から思い出して書きます。
同じ単語を10回書くより回数は少なくなりますが、そのぶん毎回、頭の中から単語を取り出す作業が入ります。思い出す練習が記憶に効くことは、心理学の研究でも確かめられています。カーピキーとローディガーが2008年にScience誌に発表した研究では、外国語の単語を学習したあと、すでに正解できるようになった単語でもテストを繰り返したグループは、1週間後の成績が大きく上がりました。一方で、正解できるようになった単語を読み直し続けても、1週間後の成績は伸びませんでした。書いて覚える方法にあてはめると、見本を見ながら何度も書くより、思い出してから書くほうが、記憶に残りやすいということになります。思い出す練習を例文で行う方法は「英単語は例文で覚える:選び方と使い方」で紹介しています。
書く回数より、出会う回数
もうひとつのポイントは、思い出すタイミングです。同じ日に10回書くより、1回ずつ日をあけて何度か思い出すほうが、長く覚えていられます。1日目に覚えた単語を、翌日、数日後、1週間後と、間隔を少しずつ広げながら思い出すのが基本の形です。書く場合も、1日目は思い出してから書き、2日目以降は書かずに頭の中で思い出すだけにすれば、時間をかけずに思い出す回数を増やせます。
どのくらいの間隔で復習すればよいかは「忘却曲線と英単語の復習タイミング」、覚えたはずの単語を忘れてしまう原因は「英単語が覚えられない原因と対策」で詳しく取り上げています。
書く時間がない日は、見て思い出す
社会人にとって、毎日ノートを開いて書く時間を確保するのは簡単ではありません。書く練習は、つづりが難しい単語を中心に、時間のある日にまとめて行い、ふだんは単語を見て意味を思い出す回数を増やす、という分担が現実的です。スマートフォンやApple Watchの画面に単語が表示されるようにしておけば、時刻を確認するたびに単語に出会い、そのたびに意味を思い出す練習ができます。自分で選んだ単語を集めて覚えたい場合は「単語帳アプリで自分だけの単語帳を作る方法」も参考にしてください。
Watch Your Languageは、英単語をiPhoneのウィジェットとApple Watchの文字盤に表示し、まだ覚えていない単語ほど繰り返し見せます。書く練習はノートで、思い出す回数は画面で、という使い分けができます。Premiumでは、手書きのノートを撮影して単語を取り込むこともできます。
まとめ:書くなら、思い出してから
英単語を書いて覚える方法は、つづりを覚えるのに向いていますが、見本を写すだけでは意味は定着しにくくなります。書く単語はつづりの難しいものに絞り、書くときは意味から英単語を思い出してから書く。そして同じ日に何回も書くより、日をあけて何度も思い出す。この3つを意識するだけで、同じ時間でも覚えられる単語が増えていきます。Watch Your Languageの機能全体はホームで紹介しています。