結論から言うと、スペイン語は日本語話者にとって発音の入り口がやさしい言語なので、独学では読み方の規則を早めに済ませ、時間の多くを動詞の活用と名詞の性に回すのがおすすめです。スペイン語の母音はa・e・i・o・uの5つで、日本語の「ア・エ・イ・オ・ウ」に近く、つづりもほぼ規則どおりに読めます。独学で向き合う3つのポイントは、発音、動詞の活用、名詞の性です。
この記事では、スクールに通わず、仕事の合間や通勤時間でスペイン語を独学する社会人を想定して、この3つにどう時間を配分するか、そしてスペインと中南米のどちらのスペイン語から入るかを順に見ていきます。
要点
- 母音は日本語に近く、つづりもほぼ規則どおりなので、発音の規則は早めに済ませられます。
- 本当の壁は動詞の活用なので、まずser・estar・tenerなど頻出動詞の現在形から文の中で固めます。
- 名詞は「la mesa」のように冠詞ごと覚え、「あなたたち」はスペインならvosotros、中南米ならustedesを中心に練習します。
発音は日本語話者の味方:アクセント記号とñ
スペイン語は、書かれたとおりに読めば通じやすい言語です。英語のように同じ文字が単語ごとに違う音になることが少なく、ローマ字に慣れた日本語話者なら、初日から単語を声に出して読めます。覚えておきたい規則は多くありません。単語の強く読む位置は、母音や「n」「s」で終わる単語なら後ろから2番目の音節、それ以外の子音で終わる単語なら最後の音節が基本で、この規則に従わない単語にだけアクセント記号(tilde)が付きます。
アクセント記号は意味を区別する働きも持っています。「sí(はい)」と「si(もし)」、「tú(あなた)」と「tu(あなたの)」は記号の有無だけで別の単語になり、動詞でも「hablo(私は話す、現在形)」と「habló(彼・彼女は話した、過去形)」のように、記号一つで時制と主語が変わります。もう一つの特徴が「ñ」で、nとは別の独立した文字です。日本語の「ニャ・ニュ・ニョ」の子音に近い響きで、「año(年)」は「アニョ」に近い音になります。つづりを覚えるときは、アクセント記号とñを省かずに書く習慣をつけておくと、あとで読み方に迷いません。
本当の壁は動詞の活用:現在形の頻出動詞から
スペイン語の独学で最も時間がかかるのは動詞の活用です。動詞は主語によって形が変わり、たとえば「hablar(話す)」の現在形は、yo hablo、tú hablas、él/ella/usted habla、nosotros hablamos、vosotros habláis、ellos/ellas/ustedes hablanの6つの形になります。これが時制ごとにあるため、参考書の活用表を最初から全部覚えようとすると、単語を覚える前に疲れてしまいがちです。
独学では、まず現在形だけを、よく使う動詞から固めるのが現実的です。「ser」と「estar」はどちらも日本語の「〜である」にあたりますが、serは国籍や職業のような変わらない性質、estarは体調や場所のような一時的な状態を表すという使い分けがあり、早い段階で慣れておきたい組み合わせです。「tener(持つ)」の一人称が「tengo」、「ir(行く)」の一人称が「voy」になるように、よく使う動詞ほど不規則な形が多いので、規則動詞の表を完璧にするより、頻出の動詞を一つずつ文の中で覚えるほうが早く使えるようになります。
名詞は冠詞と一緒に覚える
スペイン語の名詞には男性と女性の文法上の性があり、冠詞や形容詞の形が名詞の性に合わせて変わります。単語帳には「mesa」だけでなく「la mesa(机)」のように冠詞を含めた形で書いておくと、あとから性を調べ直す手間が省けます。語尾が「-o」なら男性名詞、「-a」なら女性名詞であることが多いものの、「el día(日)」や「la mano(手)」のような例外もあります。例外は覚える数が限られるので、出てきたときに冠詞ごと書き留めておけば十分です。
語彙そのものは、あいさつ、数字と時間、家族、食事、仕事など、自分が使う場面のテーマから選ぶと記憶に残りやすくなります。DELEやスペイン語技能検定のような試験を目標にする場合は、公式情報が示す範囲を基準に、レベルに合った単語から選んでいくとよいでしょう。アプリの比較は「スペイン語アプリ比較」で取り上げています。
スペインと中南米、どちらのスペイン語から始めるか
スペイン語はスペインと中南米の多くの国で話されていて、地域によって語彙や言い回しに違いがあります。独学の最初に知っておきたい違いは、複数の相手に呼びかける「あなたたち」の言い方です。スペインでは親しい相手にvosotros、丁寧に話す相手にustedesを使い分けますが、中南米ではどちらの場面でもustedesを使います。また、アルゼンチンなど一部の地域では、親しい相手への「あなた」にtúではなくvosを使います。
どちらを選んでも基本の文法と大部分の語彙は共通なので、迷ったら、旅行や仕事で関わる予定のある地域、あるいは使う教材に合わせて決めれば問題ありません。教材がスペインのスペイン語ならvosotrosの活用も覚え、中南米が目標ならustedesを中心に練習する、というように、活用表のどこに力を入れるかを決める目安にもなります。
活用の練習と並行して、単語は画面で覚える
Watch Your Languageはスペイン語の学習にも対応しています。iPhoneのロック画面・ホーム画面のウィジェットや、Apple Watchの文字盤のコンプリケーションに単語を自動で表示するので、時刻や通知を確認するたびにスペイン語の単語が目に入ります。単語パックはテーマとCEFRのレベル(A1からC2)で分かれていて、あいさつや日常の基本語から始められます。机に向かう時間は活用の練習に使い、単語は画面を見るたびに少しずつ覚える、という分担ができます。Premiumでは、教材の単語リストの取り込みや、手書きのノートを撮影して単語を読み取ることもできます。Apple Watchで単語を表示する仕組みはApple Watchの単語帳アプリの紹介ページにまとめています。
Watch Your Languageは、スペイン語の単語をテーマとCEFRレベル別のパックで提供し、iPhoneのウィジェットとApple Watchの文字盤に自動で表示します。スマート・レペティションの仕組みが、覚えるまで同じ単語を繰り返し見せるので、机に向かう時間は動詞の活用の練習に回せます。
まとめ:読みやすさを生かして、活用に時間を回す
スペイン語の独学は、発音の入り口がやさしいぶん、早い段階から単語を声に出して読めるのが強みです。アクセント記号とñの規則を最初に押さえ、動詞は現在形の頻出動詞から、名詞は冠詞と一緒に覚える。スペインと中南米のどちらを目標にするかは、関わる予定の地域と教材で決める。この順番で進めれば、活用表を一気に覚えようとして止まってしまうことを避けられます。まずは「hablar」の現在形を、声に出して一通り言ってみるところから始めてください。発音も文字も日本語話者にとって別の壁がある言語の独学は「中国語の独学は発音から」で取り上げています。Watch Your Languageの機能全体はホームで紹介しています。