ホーム › ブログ › 学習法

ロシア語の独学はキリル文字から

ロシア語を独学で始める社会人向けに、33文字のキリル文字の覚え方、アクセントで変わる母音の読み方、語尾でわかる名詞の性、6つの格と動詞の「対」を順に解説します。

青空の下の聖ワシリイ大聖堂の写真に、Р・С・Н を色分けした РЕСТОРАН、その読み restoran、意味のレストランを重ねたパネル

結論から言うと、ロシア語の独学は、最初の1〜2週間でキリル文字を読めるようにし、単語はアクセントの位置と一緒に、文法は名詞の性と3つの格から少しずつ広げていくのが近道です。ロシア語は文字が見慣れないうえに、格変化や動詞の「体(たい)」など、英語にない仕組みが多い言語です。ただ、文字そのものは33文字しかなく、つづりと発音の対応も英語よりは規則的です。この記事では、スクールに通わず独学でロシア語を始める社会人向けに、何をどの順番で進めるかを紹介します。

要点

キリル文字は3つのグループで覚える

ロシア語のアルファベット(キリル文字)は33文字です。いきなり表を丸暗記するより、英語のアルファベットと比べて3つのグループに分けると、短い期間で読めるようになります。

2つめのグループに慣れるには、英語と同じ形の文字でできた単語を読んでみるのが効果的です。たとえば РЕСТОРАН は、英語の文字として読むと PECTOPAH(ペクトパー)のように見えますが、Р を r、С を s、Н を n と読み替えると restoran、つまり「レストラン」です。こうした単語を何語か声に出して読むうちに、英語の読み方を切り替える癖がつきます。iPhoneでは、「設定」の「一般」から「キーボード」を開き、ロシア語のキーボードを追加しておくと、単語を自分で打って調べられます。

キリル文字の3つのグループ:形も音も同じ А К М О Т Е、形は同じで音が違う В(ヴ)Н(ン)Р(ル)С(ス)У(ウ)Х(ハ)、新しい形の Б Г Д Ж Л П Ф Ц Ч Ш Щ Ы Э Ю Я。下に РЕСТОРАН → restoran

アクセントで母音の音が変わる

ロシア語の単語には、強く長めに読む音節(アクセント)が1つあります。辞書や教科書では記号で示されますが、ふだんの文章にはアクセントの記号が書かれません。そのため、単語はつづりだけでなく、どこにアクセントがあるかと一緒に覚える必要があります。

アクセントが大切なのは、位置によって母音の音が変わるからです。代表的なのが о で、アクセントがあるときは「オ」ですが、アクセントのないところでは「ア」に近い音になります。牛乳を意味する молоко は、つづりには о が3つありますが、アクセントは最後の о にあるため、「マラコー」のように聞こえます。水を意味する вода も、アクセントが最後にあるので「ヴァダー」です。ラテン文字に置き換えた読み(moloko、voda)はつづりどおりなので、実際の音は音声で確認しておきましょう。新しい単語を覚えるときは、アクセントのある母音に印をつけて単語帳に書いておくと、あとで迷いません。

アクセントのある音節を緑で示した図:молоко(牛乳)は мо・ло・ко がマ・ラ・コー、вода(水)は во・да がヴァ・ダー

名詞の性は語尾でわかる

ロシア語の名詞には、男性・女性・中性の3つの性があります。ドイツ語やフランス語と違って冠詞はありませんが、そのかわり、多くの名詞は語尾を見るだけで性がわかります。子音で終わる名詞はたいてい男性で、стол(テーブル)がその例です。-а や -я で終わる名詞はたいてい女性で、книга(本)がそうです。-о や -е で終わる名詞はたいてい中性で、окно(窓)などがあります。

ただし例外もあります。папа(お父さん)は -а で終わっていても男性名詞です。また、-ь(軟音記号)で終わる名詞は、男性のことも女性のこともあるため、出てきたときに性も一緒に覚えるのが確実です。性は形容詞の形や過去形の語尾にも関わるので、最初の段階で語尾を見る習慣をつけておくと、あとの文法が楽になります。

格は6つ、まず主格・対格・前置格から

ロシア語の名詞は、文の中での役割によって語尾が変わります。これが「格」で、ロシア語には主格、生格、与格、対格、造格、前置格の6つがあります。日本語の「は」「を」「に」のような助詞の役割を、語尾の変化が担っていると考えるとわかりやすいでしょう。

6つの格の表を一度に覚えようとすると、そこで止まってしまいがちです。独学では、使う場面の多い3つの格から始めるのが現実的です。主語の形である主格、「〜を」にあたる対格、そして в(〜の中で)や на(〜の上で)と一緒に場所を表す前置格です。たとえば книга(本)は、「私は本を読んでいます」では Я читаю книгу. と対格の книгу に、「本の中に」では в книге と前置格になります。стол(テーブル)も「本はテーブルの上にあります」では Книга на столе. と、前置格の столе に変わります。残りの格は、例文の中で出てきたときに少しずつ覚えていけば十分です。

книга の3つの格を語尾に色をつけて示した図:主格 книга(本は)、対格 Я читаю книгу.(私は本を読んでいます)、前置格 в книге(本の中に)

動詞は「対」で覚える

ロシア語の動詞には、多くの場合、意味の近い2つの形がペアで存在します。これを動詞の「体(たい)」と呼び、動作の途中や繰り返しを表す不完了体と、動作の完了や1回の結果を表す完了体に分かれます。たとえば「読む」は читать(不完了体)と прочитать(完了体)、「する」は делать と сделать、「書く」は писать と написать です。

最初は使い分けを完璧に理解しようとせず、単語帳に「читать / прочитать」のように2つ並べて書き、ペアとして覚えておくのがおすすめです。例文の中で両方の形に出会ううちに、「読んでいた」と「読み終えた」の違いが少しずつ感覚でわかるようになります。

文法は机で、単語は毎日の画面で

ロシア語の独学では、文字、アクセント、名詞の性、格、動詞の体と、机に向かって理解する文法の時間が欠かせません。その時間を確保するためにも、単語はふだんの生活の中で覚えられるようにしておくと効率的です。スマートフォンやApple Watchを見るたびにロシア語の単語が目に入るようにしておけば、キリル文字を読む回数そのものが増え、文字に慣れるのも早くなります。毎日少しずつ触れる復習の考え方は「忘却曲線と英単語の復習タイミング」で、同じように文法の多い言語の進め方は「ドイツ語の独学は読み方と語順から」で紹介しています。

街なかで腕につけたApple Watch。文字盤にロシア語の単語と日本語訳が表示されている

Watch Your Languageは、ロシア語の単語をテーマとCEFRレベル別のパックで提供し、iPhoneのウィジェットとApple Watchの文字盤に表示します。ウィジェットではラテン文字の読みを一緒に表示する設定もあり、まだ覚えていない単語ほど繰り返し見せるので、机に向かう時間は格変化の練習に回せます。

まとめ:文字を先に、単語はアクセントごと

ロシア語の独学は、まずキリル文字を3つのグループに分けて読めるようにし、単語はアクセントの位置と一緒に覚えるのがおすすめです。名詞の性は語尾で見分け、格は主格・対格・前置格から、動詞は不完了体と完了体のペアで覚えていきましょう。単語はふだんの画面で何度も目にして覚えれば、机に向かう時間を文法の理解に集中させられます。まずは РЕСТОРАН を restoran と読めるか、声に出して試してみてください。Watch Your Languageの機能全体はホームで紹介しています。

文法は机で、 単語は文字ごと手首で

Watch Your LanguageiPhoneとApple Watchの単語ウィジェット

Watch Your Languageは、ロシア語の単語をiPhoneのウィジェットとApple Watchの文字盤に表示します。ウィジェットではラテン文字の読み(собака なら sobaka)を一緒に表示する設定もあり、キリル文字に慣れるまでの手がかりになります。

単語パックはテーマとCEFRのレベル(A1からC2)で分かれていて、まだ覚えていない単語ほど繰り返し表示されます。机に向かう時間は格変化や動詞の練習に回せます。

無料のツール

ほかの記事