隙間時間で英単語を覚えるコツは、時間の長さによってやることを変えることです。信号待ちや電子レンジを待つような30秒には、すでに見たことのある単語を1つだけ見返します。10分程度の通勤時間には、5〜10語ほどを一通り見直す余裕があります。まとめて1回長く勉強するより、短い接触を何度も繰り返すほうが記憶に残りやすいことは、間隔効果(スペーシング効果)として知られています。
30秒でできること、10分でできること
隙間時間と一口に言っても、信号待ちの30秒と、電車やバスでの10分の通勤とでは、できることがまったく違います。30秒でできるのは、すでに一度見たことのある単語を1つか2つ見返すことだけです。意味を思い出せるか自分に問いかけて、思い出せなければ答えを確認する。それだけで十分で、新しい単語を無理に覚えようとすると、時間が足りず中途半端になりがちです。一方、10分ほどの通勤時間があれば、5語から10語ほどを一通り見直し、覚えているかどうかを自分の中で確認する時間も取れます。声に出す必要はなく、頭の中で意味を思い浮かべるだけでも十分です。まず、自分が普段どのくらいの隙間時間を持っているかを、通勤時間や家事の合間から具体的に洗い出しておくと、どちらのやり方を使うべきか判断しやすくなります。
具体的な隙間時間の例
- 30秒ほど:信号待ち、電子レンジや給湯を待つ間、エレベーターを待つ間
- 2〜3分ほど:駅のホームで電車を待つ時間、レジに並んでいる間
- 10分前後:電車やバスでの通勤、昼休みの後半
時間の長さごとにやることをあらかじめ決めておくと、隙間時間が来るたびに「今何をしよう」と迷う必要がなくなります。通勤時間が日によって変わる人は、一番短いパターンに合わせて「10分あれば5語、それ以下なら1語だけ」のように、下限を基準に決めておくと続けやすくなります。長い時間が取れた日に単語を増やすのは自由ですが、基準を短い方に置いておけば、忙しい日でも「今日はゼロ」にならずに済みます。行きと帰りの両方に通勤時間がある人は、1日のうちに10分前後の隙間時間が2回生まれることになり、朝は新しい単語、帰りは朝見直した単語の再確認、というように役割を分けることもできます。
始める前に、見る単語を決めておく
隙間時間になってから「どの単語を見るか」を考え始めると、選ぶこと自体に気を取られて、肝心の見直しに時間を使えなくなります。通勤前や一日の始まりに、その日見る単語をあらかじめ数語選んでおくと、隙間時間が来た瞬間にすぐ取りかかれます。紙の単語帳やメモアプリでも構いませんが、間違えた単語を自分で並べ替える手間があると、隙間時間が来るたびに面倒に感じて続きにくくなります。間違えた単語を自動で優先して並べてくれる仕組みがあると、その分の負担がなくなります。
10分の通勤で、具体的に何をするか
10分ほどまとまった時間がある通勤中は、次のような流れで進めると効率的です。まず、直近で間違えた単語や、まだ自信のない単語を5語ほど選びます。次に、それぞれの単語を見て、日本語の意味を頭の中で思い浮かべます。思い出せた単語と思い出せなかった単語を分け、思い出せなかった単語だけをもう一度見直します。最後の数分は、覚えたはずの単語を含めて、全体をもう一度ざっと流し見します。ノートやアプリに正解・不正解を記録する必要はありません。大切なのは記録をつけることより、同じ単語に日をまたいで何度も触れることです。座席に座れる日は画面を見続けられますが、立っている日や混雑した車内では、片手で操作できる範囲に留めておくと、無理なく毎日続けられます。
なぜ「たまに30分」より「毎日3分」の方が定着するのか
同じ1週間で、月曜日にまとめて30分だけ英単語を勉強する場合と、毎日3分ずつ7日間続ける場合を比べてみます。記憶の研究から考えると、有利なのは後者です。間隔を空けて学習したほうが記憶に残りやすい現象は間隔効果と呼ばれ、19世紀末にドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスらが示して以来、記憶研究の中で繰り返し確認されてきました。2006年にPsychological Bulletin誌に掲載されたセペダらのメタ分析では、同じ内容を続けて学習した場合と間隔を空けて学習した場合を比べた271件の比較のうち、間隔を空けても成績が上がらなかったのは12件だけでした。1回の学習を長くするよりも、短い接触の回数を増やす方が、隙間時間との相性も良いということです。まとめて30分勉強した直後は覚えた気になりやすいものの、数日たつと多くを忘れてしまいがちです。毎日3分ずつであれば、前日や数日前に見た単語ともう一度出会うことになり、忘れかけたタイミングでの再接触が記憶を強めてくれます。
隙間時間の学習を続けるコツ
隙間時間の勉強が続かなくなる一番の原因は、「今日はできなかった」という日を自分で責めてしまうことです。間隔効果は、毎日完璧に続けることよりも、忘れかけた頃にもう一度触れることを重視した考え方なので、1日抜けたからといって最初からやり直す必要はありません。新しく時間を作ろうとせず、もともと画面を見ている瞬間に単語を差し込む方が続けやすくなります。通勤中にスマートフォンを取り出す、信号待ちで時計を見る、そうした動作のついでに単語が目に入る状態を作っておけば、勉強のために立ち止まる必要もありません。一度に覚える単語の数を増やしすぎないことも大切です。30秒で何語も、10分で10語を超えて、と欲張ると見直しきれなくなり、結局後回しにしてしまいがちです。数を絞ってでも、日をまたいで繰り返す方が、長い目で見れば語彙は増えていきます。何語できたかを毎回記録して管理しようとすると、それ自体が新たな作業になり、隙間時間の気軽さが失われてしまいます。記録は仕組みに任せて、自分は単語を見ることだけに集中する方が長続きします。
Watch Your Languageは、Apple WatchのコンプリケーションやiPhoneのロック画面に単語を自動で表示し、スマート・レペティションのアルゴリズムで、覚えるまで単語を繰り返し表示します。単語が切り替わる間隔は1分から1週間まで自分で選べるので、画面を見る回数に合わせて調整できます。新しく時間を作る必要はなく、画面を見る回数はそのままに、語彙だけが少しずつ増えていきます。
まとめ
隙間時間で英単語を覚えるには、30秒には復習、10分には少し広めの見直しというように、時間の長さに合わせてやることを変えるのが近道です。まとめて長く勉強するよりも、短い接触を日をまたいで繰り返す方が記憶に残りやすいことは、間隔効果として研究でも確かめられています。Apple Watchで使える勉強アプリを他にも比較したい方は「Apple Watch 勉強アプリ比較」、iPhoneのロック画面に単語を表示する方法は「iPhoneのロック画面に英単語を表示する方法」、社会人向けの英単語学習については「社会人のための英単語学習法」でも詳しく紹介しています。