ベトナム語はアルファベットで書くため、タイ語や韓国語に比べて文字の壁は低く見えます。ところが実際に始めてみると、文字の上下に付く記号の多さと、声調の聞き分けに戸惑う人が少なくありません。「ベトナム語 アプリ」を選ぶときは、声調を音で確かめられるか、単語をどうやって増やし、どう復習するかの2点で考えると選びやすくなります。録音と聞き比べで発音を練習したいならnemo ベトナム語、イラストを見ながら短時間ずつ単語を増やしたいならDrops、無料のクイズで基本単語を確認したいならベトナム語検定単語テスト、覚えた単語を時計やロック画面で何度も目にしたいならWatch Your Languageが合っています。各アプリの情報は、App Store(日本)のページで2026年9月に確認した説明文、「互換性」の欄、価格の表示にもとづいています。
要点
- ă・ơなど記号つきの文字と、6つの声調を書き分ける声調記号の2種類があり、つづりは記号まで含めて覚えます。
- 録音と聞き比べで発音を練習するならnemo、イラストで短時間ずつ増やすならDrops、無料クイズならベトナム語検定単語テストです。
- 漢字に由来する語が多く、văn hóa(文化)のように漢字を思い浮かべると意味の見当がつきます。
ベトナム語の文字には2種類の記号が付く
ベトナム語はラテン文字で書かれるので、ローマ字に慣れた日本語話者には読みやすそうに見えます。ただし、文字に付く記号には2つの種類があります。1つは ă・â・ê・ô・ơ・ư・đ のように、記号が付いた形で1つの文字として扱われるものです。もう1つが声調を表す記号で、ハノイを中心とする北部の標準的な発音には6つの声調があり、記号を付けない声調と、5種類の声調記号(à・á・ả・ã・ạ)で書き分けます。南部の発音では、このうち2つの声調がほぼ同じに発音されます。
たとえば lịch sử(歴史)では、ị の下の点が声調記号です。ử のほうは、ư の右上の角のような部分が文字の一部で、その上のフックが声調記号です。1つの文字に2つの記号が重なることもあり、記号を1つ落とすだけで別の単語になりかねません。つづりは記号まで含めて覚える必要があります。
一方で、日本語話者に有利な点もあります。ベトナム語には漢字に由来する語(漢越語)が多く、văn hóa(文化)、lịch sử(歴史)、âm nhạc(音楽)、ngân hàng(銀行)のように、漢字を思い浮かべると意味の見当がつく単語がたくさんあります。漢字の読みと発音の関係は、中国語の記事「中国語の独学は発音から」でも触れています。
Watch Your Language — 記号つきのつづりを毎日目にする
どんな人向けか: ほかの教材で学んだベトナム語の単語を、声調記号まで含めたつづりのまま何度も見て覚えたい人向けです。
できること: App Storeのページで「互換性」の欄を見ると、iPhoneとiPadに加えてApple Watch(watchOS 10.0以降が必要)が挙がっています。単語は文字盤のコンプリケーションと、iPhoneのロック画面やホーム画面のウィジェットに出てきます。どの単語を出すかは、A1からC2までのCEFRレベルとテーマで分かれたパックから選ぶ形で、覚えるまではスマート・レペティションが同じ単語を間隔を空けて出し直します。ベトナム語はラテン文字で書くため、ローマ字表記の設定はありません。cà phê(コーヒー)や cảm ơn(ありがとう)が記号を含めたつづりのまま、日本語の訳と一緒に表示されるので、時刻を見るたびに à や ả、ơ といった記号が目に入ります。
できないこと: 文法や会話のレッスン、声調を練習するための課題はありません。教科書の単語を自分で打ち込んだり、表計算ファイル(CSV・Excel・Googleスプレッドシート)から一度に取り込んだりする機能は、アプリ内課金のPremiumで使えます。Premiumでは単語数の上限もなくなります。
nemo ベトナム語 — 自分の声を録音して手本と聞き比べる
どんな人向けか: 声調を耳で覚え、自分の発音と手本の違いを確かめながら練習したい人向けです。
できること: App Storeのページには、必須の単語と熟語がネイティブの音声で収録されていると書かれています。「スピーチスタジオ」では、自分の発音を録音すると続けて先生の発音が流れるので、声調の高さの動きを聞き比べられます。オーディオはすべて端末にダウンロードでき、機内モードでも使えると案内されています。すでに知っている単語を飛ばす機能や、その日に練習した単語を夜に復習する「夜間レビューモード」もあります。
できないこと: 説明文の冒頭には「iPhone・iPad・Apple Watchをお気に入りのベトナム語の先生にしましょう」とあり、2015年のバージョン履歴にも「Apple Watchでベトナム語を学習」と書かれています。しかし現在の「互換性」の欄はiPhone、iPad、iPod touch、Mac、Apple Visionで、Apple Watchは含まれていません。アプリ内課金は「Nemo Vietnamese Foundation pack」の2,500円で、App Storeのカテゴリは教育ではなく旅行です。
ベトナム語を学ぼう - Drops — 1日5分、イラストで単語を増やす
どんな人向けか: 1回の学習時間を短く区切り、イラストを見ながら単語を少しずつ増やしたい人向けです。
できること: App Storeのページによると、すべての単語にイラストが付いていて、スワイプとタップで答えながら単語と表現を覚える形式です。説明文では、学習時間を1日5分に制限する設計だと案内されており、旅先で実際に使える実用的な単語を中心に、1,000以上の単語を選んでいるとされています。アプリ内課金の一覧には「毎日10分獲得」や「無制限の時間」という名前の項目があり、学習時間を延ばす選択肢も用意されています。
できないこと: 「互換性」の欄はiPhone、iPad、iPod touchで、Apple Watchは含まれていません。また、App Storeの「言語」の欄は英語だけで、説明文は日本語でも、アプリの画面が日本語に対応しているとは表示されていません。アプリ内課金は「無制限の時間」が880円から、「プレミアム」が最大25,000円まで、幅広く並んでいます。
ベトナム語検定単語テスト — 無料の500問クイズ
どんな人向けか: 費用をかけずに、基本単語を覚えているかどうかをクイズで確かめたい人向けです。
できること: App Storeのページによると、ベトナム語の基本単語のクイズが全部で500問あり、名詞・動詞・形容詞などのカテゴリーに分かれています。説明文では、ベトナム旅行や検定試験に役立つ内容だとされています。価格は無料で、アプリ内課金の表示はありません。
できないこと: 説明文は数行と短く、音声が付いているかどうかなど、細かな点はページからは確認できませんでした。「互換性」の欄にApple Watchはありません。
4本の違いを表で比べる
| アプリ | 声調を音で確かめる | 単語の増やし方 | Apple Watch(互換性の欄) | 価格の表示 |
|---|---|---|---|---|
| Watch Your Language | 練習用の課題はなし | テーマ別・CEFRレベル別のパック | あり(watchOS 10.0以降) | 無料、Premiumはアプリ内課金 |
| nemo ベトナム語 | 録音して手本と聞き比べ | 必須の単語と熟語 | なし | 無料、パック2,500円 |
| ベトナム語を学ぼう - Drops | 説明文に記載なし | イラストとスワイプ、1日5分 | なし | 無料、アプリ内課金880円〜25,000円 |
| ベトナム語検定単語テスト | ページで確認できず | 品詞別のクイズ500問 | なし | 無料(アプリ内課金の表示なし) |
Watch Your Languageは、ベトナム語の単語を声調記号まで含めたつづりのまま、訳を添えて時計の文字盤やiPhoneのウィジェットに出し続けます。声調の聞き取りは音声のあるアプリで練習し、つづりと意味の復習は時刻を見るたびに、と役割を分けて使えます。
声調から始めるか、単語から始めるか
ベトナム語をゼロから始めるなら、まずは声調の聞き分けに時間を使うことをおすすめします。nemo ベトナム語で録音と聞き比べを繰り返し、6つの声調の違いに耳を慣らしておくと、そのあと覚える単語の発音を自分で確かめやすくなります。すでに声調に慣れていて単語を増やしたい段階なら、Dropsで毎日短時間ずつ進めるか、ベトナム語検定単語テストで基本単語の抜けを確認するのが手軽です。どの段階でも、記号まで含めたつづりを覚えるには、その単語を目にする回数を増やすことが役に立ちます。Watch Your Languageを文字盤やロック画面に置いておけば、その回数を勉強時間とは別に確保できます。
同じ東南アジアの言語では「タイ語アプリ比較」、表示の仕組みについては「Apple Watchのコンプリケーションの使い方」や「忘却曲線と英単語の復習タイミング」も参考にしてください。アプリそのものについてはWatch Your Languageのトップページにまとめています。